血液検査でわかること

溶血と乳びについて

 血液から細胞(白血球、赤血球、血小板など)を除くと血清が残りますが、通常は黄色の透明な液体です(図の①)。

溶血は血清が赤くなることです(図の③)

 何らかの原因で赤血球が壊れると、細胞内に含まれる赤色の色素、ヘモグロビンが漏れ出し赤くみえます。
 溶血していても検査はできますが、溶血は赤血球などが壊れて細胞の中のいろんな成分が出てきた証拠なので、採血項目によっては影響を受ける場合があります。

1 血球内の成分が漏れ出て実際の値より高くなる項目

 血清中より細胞の中に多く含まれているからです。
カリウム(K)、LDH、AST(GOT)、ALT(GPT)、アルドラーゼ、鉄(Fe)、葉酸、NSEなどが該当します。例えば、カリウムは22.7倍、LDH200倍、AST80倍、ALT15倍、鉄97倍多く血球内に含まれています。

2 血球内の成分が漏れ出て実際の値より低くなる項目

 インスリン、BNPなどは赤血球から漏出したタンパク分解酵素により分解されるため、これらの値は低値になります。

《溶血が生じる原因》

 何か病気があって溶血するわけではありません。採血するときの針が細かった、血液量が少なく採血管内が陰圧のままだった(採血管は元々陰圧で、血液が規定量入ると大気圧に戻る設計になっています)などの物理的衝撃で主に生じます。

乳びは血清が乳白色を呈する状態です(図の②)

 食事でとった中性脂肪が血液中に残っていたためで、健康な人でもみられます。
食後4時間が乳びのピーク。その後徐々に低下しますが、高脂血症などの病気の場合は脂肪を分解・代謝する酵素が足りないか、またはうまく働いていないため食後かなり時間をおいて採血しても乳びすることがあります。
 乳びしていると、中性脂肪やコレステロール値に影響を与える場合があります。検査前少なくとも12時間は絶食した空腹時に採血することをお勧めします。